2015年2月11日水曜日

Aphex Twin / Syro

 ディスクの取り出しの面倒くささに関しては2014年トップの座を独走することがすでに約束されている、そんな凄いアルバムが出た。

 とにかくリリース前から「リチャード・ジェイムズが13年ぶりにアルバムを!」って大評判だった。期待の声が大きかったし、俺も去年くらいから旧譜(リアルタイムでスルーしていたモノを含む)を改めて聴いたりしていて、「久々に聴いてみようかな」という気分になる土壌が出来ていた。個人的には凄く丁度いいタイミングでのリリース。

 俺がAphex Twinを知ったのは、Ambient Works Vol.1が出て暫くしたくらい。多分最初に聴いたのは電気グルーヴのテクノ専門学校に入っていたDigeridooと、それから暫くしてPolygon Window名義のアルバム。ジャケの格好良さから欲しかったけどAmbient Worksは何故か当時買っていなくて、だけどこの辺はかなり好きだった。

 そんなタイミングでVol.2が出たので、2枚組と大ボリュームだったけど飛びついた。そしたらコレが、ジャケにはタイトルも載ってないしなんだかぼよーんとしたアンビエントばっかりで……凄く良かったのだ。キャンプ場で、バンガローの中で延々流してた記憶があるな。屋外にもとてもよくあった。

 で、(多分)その後出たのがシングルOn。コレのμ-ziqリミックスが最高に好きで。この時期は(ってか、今でも)これと、Aphex TwinがリミックスしたMeat Beat ManifestoのMindstream、それから同じくJesus JonesのZeroes and Onesのリミックス。この辺が俺にとって、いまだに彼のベストワークだ。

 だけどその後のシングル、Ventlinで俺はもう完全に離れちゃうのね。どうしてもあのサウンドが不快で。耐えられなくて、多分CD捨てたんじゃないかな。あんなに嫌な音楽は聴いたことがない。だからそれ以降、Aphex Twinは勿論、テクノからもかなり距離を置いてしまっていた。だから、それから20年近く彼の音楽は聴いていなかったことになる。

 長々と「俺とAphex Twin」を語ってしまったけど、久々に聴いた新譜は、こんなに遠ざかっていた俺にも解るほど見事にAphex Twinだった。テクノも20年もやってれば「往年のサウンド」って世界になるんだねえ。ネットでの評判もほぼ同様で、だけどみんなニコニコして特別に進化してない、俺達の知ってるリチャード・ジェイムズ君を大歓迎してる雰囲気なのが微笑ましい。やあ、久しぶりだねえ、元気だったかい?変わりないようで何よりだよ。悪気のありそうな音楽ばかり作っていたリチャードがそんな温かい迎えられ方をしている。まあ、良いコトじゃないか。

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