2014年11月19日水曜日

Robert Plant / Lullaby and... The Ceaseless Roar

 Led Zeppelinが再結成されない影の主犯はジミー・ペイジだった、という衝撃の事実。

 プラントのソロを聴いていると、その傾向がPage & Plant前後で分けられるのは意外に簡単に気付く。Page Plant名義での1stではKashmirで確立した世界を更に広げたようなサウンドが展開されていた。思えばZep時代にも、ペイジとプラントはボンベイへの旅行中にFour SticksやFriendsを現地ミュージシャンと再録していて、それは言わば「第一期Page & Plant」と呼べるのかも知れない。ともあれ、アルバムはアジアや中東、加えてケルトの香りも纏ったサウンドでほぼ統一されていた。

 しかし、Page & Plantがバンドとして活動を続けることになり、ツアーを行っていくうちに状況は変化を見せる。録音時のメンバーをフルでツアーには連れて行けないし、同作はZepのリアレンジが主体だったため、新曲はあまりない。そうすると、勢いツアーは「Zepの曲をエレクトリックサウンドで演奏する」という部分が強くなっていく。それは、「再結成ではない」という言い訳の説得力を凄い勢いで落としていった、

 かくして、Zep再結成に成り下がったPage & Plantだったが、ここで行った音楽的経験は大きな刺激となる。「これを活かして、新しい音楽を」と思ったに違いない。Unleddedに参加していたメンバーを軸にして新バンド、Strange Sensationを結成する。このバンドはエレクトロニクスと、トラディショナルなアコースティック楽器を共存させたグループとなり、メンバーが様々な楽器を操りながらまさにPage & Plantで中途半端にフェイドアウトした世界観を発展させていた。結局プラントはこのバンド名義(メンバーチェンジあり)でアルバムを2枚作る。

その後、Strange Sensationは一旦活動を停止し、パーシーはアリソン・クラウスとの活動や、何故か突然Band of Joy名義(再結成ではなく、完全な新バンド。Strange Sensationのメンバーは不参加)での活動を続けていたが、2012年以降はSensational Space Shifters名義で、ドラマーが代わったが事実上のStrange Sensation再結成(活動再開、と呼びたい)で活動を始めた。

 で、最新作が今年出たので買ったのだけど、大傑作。説得力がもう全然違う。そりゃあ、Zepの再結成もなかなか凄かったのだけど、あれは説得力というか余裕の余興で、全力で「俺の音楽」という感じはなかった。

 今回のキーマンの一人として、アフリカのガンビアという国から来たJuldeh Camaraがいる。現地の民族楽器である1弦のフィドル(Rittiという楽器らしい)のプレイヤーである彼はSSSのメンバー、Justin AdamsとJuJuというバンドもやっていて、その人脈での参加のようで、Adamsもまた、複数の民族楽器をプレイする。

 こういった民族音楽の要素を完全にバンド内に取り込んで、以前より更に強化したのと同時に、ベースのBilly Fullerがプログラミングも担当していて、エレクトロニックな響きもアルバムには多々登場する。だから、全体にはアコースティックなんだけどどこか冷徹な空気も流れる、柔らかいバラードでも何処か硬質な雰囲気のある、不思議な感触のサウンドになっている。なんだか、神話の時代と21世紀が同時に来たみたいだ。勿論、この傾向はStrange Sensation時代から持っていた物なんだけど、アルバムが出る度に深化している印象がある。「俺の音楽」が強く、深くなってるのだ。

 余談だけど、こういうサウンドの傾向はベックとか、ザ・バード&ザ・ビー(イナラ・ジョージのグループ)とか、ダーニ・ハリスンの音楽とかにも感じていた。でも、年の功か、プラントのが一番しっくり来るな。

 プラントはもうハイトーンでシャウトしたりしないし、むしろ抑えたトーンで、囁くようなシーンも多い。出ないから演らないんじゃないことはZep再結成で証明した。今の音楽にはそれは必要ない。ハードロックで叫ぶ所なんかとっくに卒業したのだ。いまだにソレを求める成長しないファンやペイジに関わってるヒマなんか無いのは凄く良く解る。

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