2014年10月30日木曜日

Kenny Jones

フーを最初に見たのはライヴ・エイドだったし、それで好きになったんだから俺にとってケニーは全然「フーに合って無い」ドラマーではない。シャープでタイトなドラミングは少なくとも80年代には凄く格好良かった。Won't Get Fooled Againのケニーのフレーズはいまだに俺がコピーするときにも混ざり込んでくる。

 それからキースのプレイを知ったわけだけど、勿論フーのドラマーとしてキースは圧倒的に凄くて、ああ、これが「本来の」フーなんだ、というのはちゃんと感じつつも決して「ケニーじゃあやっぱ駄目なんだな」と思ったことは無かった。無かった、というか、現在に至るまで一度も無い。

 それでも、ケニー自身の60年代、スモール・フェイシズ時代のプレイを聴くと80年代の彼はどうしてあんなに端正なプレイヤーになってしまったんだ?と思う。この頃のプレイを聴くとキースにも負けないくらい手数も多いし荒々しいよね。フーの頃は、やっぱりあの時代のフーの音楽に合ってはいるけど、キースの頃の曲を聴き比べた場合の「普通さ」は時にどうしても気になってしまう。特に16分音符でタムを普通に回す系統のフィルが結構多くて、コレがまあ、言ってしまえば野暮ったいんだな。

 ケニー・ジョーンズの特徴はやっぱり「どうしようもなくダサい」ということだと思う。とにかく野暮ったい顔つきもさることながら、ドラム叩いてる時のイマイチ堂々としない情けない感じとか、スモール・フェイシズ以降はどうしても目立ってしまう体躯の小ささとか、なんか変なパーマっぽい頭とか、どうしても佇まいがダサい。佇まいがダサい人がヤマハのドラムをスクエアに叩いていたらまあ、普通は格好悪く見えるよな。やむを得ん。

 でも、そんなケニーが物凄く格好良く見えた瞬間がフェイシズでのI Know I'm Losing Youのライヴ映像だった。しかもドラムソロ。ケニーのドラムソロなんか格好いいわけがないと思ったら、特別に難しいフレーズは叩かないし、ある意味ケニーのイメージ通りの「ダサい」フレーズのソロなんだけど、なんだか妙に格好いいんだよね。グルーヴだけでソロを構成してる感じもいいし、ダサいなりに完全に的を射たフレーズ(いや、実際にはフーでもそうなんだ)を叩き切る感じ。格好いいケニーを見たのはあの時だけだし、あれだけは素直に認める。格好いい。

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