2014年10月8日水曜日

リヴァイアサン

 89年に同名の怪物映画があるらしいけど、それじゃない。怪物映画かホラー映画と思いながら予告編を観ていたがどうも違うっぽい。ドキュメンタリー?なんか様子が違う。予告を観たらなんだかわからなくてとても気になっていたので、逡巡した末に、観に行ってみることにした。

 本編を観たらなんだかわからなくて、そしてとても惹き込まれた。

 どこぞのネタばれレビューにもあった通り、結局どんな映画かを知るためには予告編を観ればいい。予告編にはこの映画の内容を示す全ての情報がある。だけど、予告編でこの映画を感じ取るには圧倒的に不足している。何が不足なんだろう。映像か、音か、時間か。

 なんだかわからない映画を文章で書き示すのはとても空しい。この作品が求めているのはただ感じることだけ。映像にも音にも意味なんかなくて、全ての情報がフラット。人間も生きている魚も死んでいる魚もホタテもヒトデもカモメも船体も重機も網も海も空も水も朝も夜も音も無音も全部が等価。あらゆるところに取り付けられたGoProなるカメラがあるがままを映し出していく。そりゃあ編集には人間の意図が入り込むんだけど、それだって意味の排除に細心の注意を払っているようにさえ見える。

 そんな映画だから、正直言って最初は退屈した。何も起こらないんだもん。でもところどころに目を惹く映像が、耳を惹く音が出てくる。何も起こらないところに突然、自分の感覚に入ってくる一瞬は鮮烈だ。そういうことが繰り返されると、少しずつその感覚が増えてくる。それは後半に行くに従って目を惹くシーンを増やしてるんじゃなくて、自分の感覚がこの映画に馴染んできてるんだと思う。そうしているうちに、映画の世界に完全に惹き込まれている自分に気づく。

 等価とは言ったけど、全編が重圧の塊のような映像だから、カモメが出てくると圧倒的に癒された気持ちになるのもまた、ほんとだけど。

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