2014年5月28日水曜日

Status Quo / Dog of Two Head

中途半端なアルバム、と言わざるを得ない。前作を「過渡期」と呼んだけど、じゃあここで所謂Quoのブギーサウンドが完成したか、と言われるとやっぱりそれは「まだもう少し待って」と答えるのが普通だろう。何が良くないって、小曲Na Na Naの繰り返し。ところどころに短縮ヴァージョンが現れて、最後にフルヴァージョンを聴けるんだけど、フルで聴いても小曲で、最初のショートヴァージョンと全然印象が変わらない、という。だから同じ曲が3回入ってるだけって印象になっちゃうのね。これはだれる。

 楽曲はだいぶ焦点が定まってきているが、UmleitungやSomeone's Burningは前作を引きずっている。特に前者は前作を最後に脱退したロイ・ラインズが作曲に名を連ねていて、アウトテイクか、または彼の脱退前に作られた曲ということになり、辻褄も合う。Something's Going on in My Headもブギー系のリズムながらPye時代独特の歪み感を持っていて、この3曲全てにランカスターが作者としてクレジットされているのもヒントになるように思える。彼の楽曲は後年に至るまでへヴィなのが多く、所謂ハードロック路線に一番熱心だったのかもしれない。

 で、それ以外の曲を書いているのがロッシ/ヤングのコンビ(GerdundulaはManton/Jamesとクレジットされてるが、実は彼らの変名)。アコースティックなNa Na NaとGerdundulaは異色にも思えるが、やはりRailroadとMean Girlの2曲(そして同時期のシングルTune To The Music)が「俺たちの知ってるStatus Quo」の原点と言える。

 これらはDown the DustpipeやLazy Poker Bluesの路線を引き継いだものだけど、今回はオリジナルとしてやり始めた、というのがポイント。ミドルテンポのRailroadはRoll Over Lay Downを経てWhatever You Want等に連なっていくし、Mean GirlはSofter RideあたりからWhat You're Proposin'まで、アップテンポシャッフルの原点と言えよう。これにIn My ChairとShy Flyあたりを加えると、ほら、出揃った感がある。

 Pye後期を準備段階として、このあとハードロック/プログレの名門Vertigoに移籍することになるのだけど、実は試行錯誤はもう少し続く……という話は、次の原稿で。

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