2014年5月1日木曜日

George Harrison / 慈愛の輝き


 ビートルズのソロの場合、セルフタイトルのアルバムに付けられた邦題が素晴らしいというパターン、というのは勿論「慈愛の輝き」と「ジョンの魂」のことで、「マッカートニー」と「リンゴ」には邦題がない。

 「ジョージ・ハリスン」っていう邦題は(忘れ去られてるけど)All Things Must Passで使われちゃってたから、っていう事情はあるのだろうけど、「慈愛の輝き」は素晴らしすぎた。ジャケのイメージで付けたんだろうねえ。ひたすら優しい雰囲気のジャケと、ひたすら優しい雰囲気の楽曲だったからあまりにもぴったり来たんだな。普通このアルバムを見て、聴いたら「ああ、慈愛の輝きだね」って思うはずだ。

 「慈愛の輝き」に満ち溢れた収録曲群が全部よいのを今更語るべきかどうか迷うんだけど、如何せんジョージのアルバムは聴いてない人も多いかもしれないので語ってしまうべきだろうか。全曲語るか。うん、語ろう。

 Love Comes to Everyone……いや、「愛はすべての人に」ってもうこの勢いで邦題で行くけど、これはもうこんないい曲があるのか、ってくらいいい曲で。エリック・クラプトンとスティーヴィー・ウィンウッドが無駄に参加してるんだけど全然目立ってなくて(笑)まあそんなものはどうでもよくて、多分世界一優しい曲。こういうこと言うのは死ぬほど恥ずかしいけど、何度か救われた。
 
 Not Guiltyは邦題が無い(ってか実は邦題は2曲しかない)のだけど、お前まだ「無罪」とか言ってるのか……って話ではなくて、有名な事実だけどWhite Albumの時のボツ曲をリメイクしたもの。俺が割と早い時期にこのレコードを買ったのはこの曲に対する興味(と、もう一つ)だったんだよね。ビートルズ時代のアレンジはヘヴィ、というよりもっさりした感じだったけど、再演時にはすっかりお洒落になって、まあ、結局ここまで温存されたんだろうね。誰の意思でもないのかもしれないけど、出るべきタイミングってのがあったんじゃないかな。

 で、興味を持つ切っ掛けのもう一つが勿論Here Comes the Moonで、要するに2曲続けてビートルズ由来が続くわけで、まあソロへの足がかりには丁度良かったよね。「Sun」の方とリズムアレンジで韻を踏んでたりとか仕掛けも面白いけど、とにかく可愛らしくて良い曲。再興に居心地がいい。ああ、ハワイで書いたのか。海から月が昇ってくるような雰囲気があるとは思ってたんだけど。
 
 なんか曲が関連性で並んでるのかな。Soft Hearted Hanaもハワイの地名から付けられたタイトルで、オリエンタルな雰囲気のある曲。次作でホーギー・カーマイケルを2曲カヴァーするけど、それを自作でやった感じかな。エンディングでピッチいじってるのは何なんだろうね?

 Blow Awayを最初に聴いたんだよ。当時テレビでビートルズ特集があって、ソロ曲も幾つか放送したんだけど、リンゴの「バラの香りを」とかコレとか、今考えると少しレアな曲が観れて。勿論当時はよく知らないから代表曲だと思うじゃん。だからこの曲も含めてコレ買った切っ掛けだね。ビデオも可愛いけど(アヒルちゃんとジョージのにんまり笑い!)、楽曲もポップで、シンプルで、可愛くて、やっぱり優しくて。リハビリ的に書いた曲だというし、だからシンプルなんだろうけど、ジョージは装飾過多になりがちな気質もあるからこの曲の無駄の無さは本当に素敵だなあ。

 Fasterに関しては、友達に聴かせたときに凄い的確な表現をされたのが印象的。勿論、F1にインスパイアされた曲なんだよ、という話をしたのだけど(彼はF1ファンだった)「なんか金曜日のフリー走行を芝生でのんびり眺めてるみたいな曲だな」っていや、まさにそれ。ジョージはガンショットとか爆音入れてスピード感を狙ったんだろうけど、そんなテーマで曲書いても優しくなってしまうのがやっぱり「慈愛の輝き」なんだよねえ。

 Dark Sweet Ladyはオリビアのことを歌った曲で、コレもひたすら優しい曲。ってか恋人からこんな曲作ってもらったら凄い気分だろうな!ってなんで俺は女性の側に感情移入しているのか。A面のハワイコーナーと共通するゆったりした空気感があるね。

 「永遠の愛」って邦題は忘れてたな。Your Love is Foreverだけど、この曲も同じような空気が漂っていて、アレンジも似ているし、そしてオリビアへのラヴソングというのも共通。こっちの方が更にゆったりしているけど。全編チル・アウトしてるアルバムだけど、ここでもうリラックスし尽くす感じだね。へえ、「慈愛の輝き」ってこの曲の歌詞からとられたのか(Wikiより)。

 Soft TouchとSoft Hearted Hanaってタイトルが似てる上に、各国盤のシングルでBlow AwayまたはLove Comes to EveryoneのB面にどっちかが入ってるって言うややこしい状況だから厄介。俺はどっちも持ってるけど、何故かどっちもSoft Hearted Hanaが入ってるヴァージョンだった。Soft TouchがB面の7インチ欲しい。
 いや、コレは余談。この曲もタイトル通りのソフトな曲で、前2曲よりリズムが立ってるけどそれでもひたすら柔らかい。この3曲の並びでリラックスできない人は相当病んでるから病院行った方がいいかもしれない、ってレベルの。いや、病院行く前にアルバム通しで聴いた方がいいけど。

 ラストがIf You Believe。ゲイリー・ライトとの共作だってことは忘れてたな。B面では一番キャッチーかもしれない。スライドがやたら気持ち良いのだよな。シングルにはならなかったんだよね。まあ、他のシングルも売れてないからしょうがないけど。しかしこんな良い曲ばかりなのに売れないってどういうコトなんだ。異常じゃないか。

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