2014年1月14日火曜日

Primal Scream / More Light


 電気もそうだったけど、プライマル・スクリームも最近イマイチ面白くないなあ、という印象の作品が続いていた。マニの加入以後、ドラマーがダリン・ムーニーに固定され、バンドとして安定するにつれ、アルバムごとに全然違うけどどうしようもなくプライマル、という雰囲気は消えていき、せいぜいVanishing PointとGive Out But Don't Give Upの間でうろうろする、というイメージで、サウンドとしても安定してしまった。悪い意味で。

 確かにわざわざソニックマニアも見に行ったし、感動したし興奮したけど、Screamaderica再現ライヴなんてどう考えてもバンドが過去の存在になったという証拠だ。こっちもそれを歓迎してしまうという現象はつまり、もう俺はプライマル・スクリームに何も期待していなかったんだな。

 ただ、バンドの安定はこの時期徐々に失われていた。Riot City Bluesを最後にオリジナルメンバーのロバート"スロブ"ヤングが脱退という大事件。正直これは俺もショックだった。後任にはリトル・バーリーのバーリー・カドガンが加入。その後、ストーン・ロージズの再結成に伴いScreamadericaツアーを最後にマニが脱退。マイブラのデビー・グッギがサポートで入ったり、正式(ツアー?)メンバーとしてシモーヌ・バトラーが加入したり、という、久々にメンバー構成に動きがあった。そんな時期にMore Lightが出て、そこに久々の満足感があったのは偶然なんだろうか。

 アルバムの録音にバトラーは不参加(加入前?)、カドガンも全面的な参加ではなく、この二人はツアーメンバーという位置づけか。ベースはアンドリュー・イネスや元ジェリーフィッシュのジェイソン・フォークナーが弾いていて、久しぶりにXTRMNTR以降の、固定バンドで作られた感が薄い作品になった。

 背景を長々書いたのは、やっぱり俺が好きなプライマルは体制が安定してない時期なんだ、ということを確認したかったから。ボビー、イネス、スロブ、(+マーティン・ダフィー)を中心にいろんなメンバーが入れ替わり立ち替わり参加する、ある程度流動的なユニットとしてのプライマルが好きなんだな。「バンドマジック」を信じる俺にしてはすごく珍しいパターンかもしれない。XTRMNTRの頃、ドラマーが固定されて本当に喜んだんだけど、そこからつまらなくなり始めたんだから皮肉な物だ。

 残念ながら、More Lightを「久しぶりの大傑作!」と絶賛するほどのアルバムとは思わない。でも、なんかこのアルバムからはプライマルが(再び)先に進んでいく可能性を感じちゃうんだな。それが具体的に何なのかがはっきり言えないのはもどかしいけど、アルバムを聴いていてなんとなくワクワクしたのは久しぶりだったんだ。

 XTRMNTRまではそれがあった。Evil Heatで少し薄まって、Riot City BluesとBeautiful Futureには全然なかった。More Lightの音楽性は、初期のように「またガラっと変わった!」という感じはなく、Beautiful Futureの延長線上にあるのだけど、これまた電気と同じく、なんとなくピントが合ったようか感じがする。合った、とまでは言えないかな。合いかけてる。もう少しだ。

 まあ、このメンバーで安定しちゃって次のアルバムがつまんない、という不安も充分過ぎるほどにあるのだけど。

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