2014年1月21日火曜日

David Bowie / The Next Day

2013年のベストアルバムを3枚、と言われたら迷わずポールのNew電気の人間と動物と共にこれを挙げる。

 ボウイの場合、待ったからなぁ。電気もポールも、あとプライマルもだけど前作までに結構不満があった。それを払拭してくれる素晴らしいアルバムを作ったから溜飲が下がった感もあったし、まあ比較として素晴らしい、という面が無かったとも言い切れない。

 でも、俺は前作Reality(10年前なのだけど)に満足していて、というか90年代以降のボウイは傑作ばかり出してると思うのだけど、そういう勢いのある人が歩みを止めてしまっていて、そこからようやくカムバックして出したアルバムということで、期待より不安が大きかったというのも事実。また、不安はあるけど、ボウイ自身の病気もあったしリハビリ的に温かく迎えたい、という気持ちもまた、あったと思う。

 実際問題として、先行して公開されたWhere Are We Now?は、なんだかとても地味に感じた。映像に出てくるボウイの顔もすっかり老けこんでしまっていたし、声も優しいというより弱々しい。この時点では正直、アルバムにはあまり期待出来なかった(と言いつつ、海外にアナログで発注していた、というのも変な話だが)。

 ところがネットでの評判がエラく良い。結局、アナログが届くのが待ちきれなくて、迷った挙句にiTunes Storeで買ってしまうという暴挙に出る。ちなみにアナログにもCDは同梱されるので音がかぶるのは承知の上だ。我慢できなかった。

 聴いてみた。ガツン、と来た。

 サウンド的には90年代以降のボウイを踏襲していて、Realityからも違和感がない。10年前のアルバムと並べて違和感がないということは古臭いのかというと、全然そんなことはなく、充分に現代のロックアルバムとして成立している。バンドメンバーもお馴染みのメンツが離れてない(勿論、あの美しいゲイル・アン・ドーシーも健在!)のも嬉しい。個人的にはThe Next Day、I'd Rather Be High、The Stars (Are Out Tonight)あたりが大好きなのだけど、捨て曲は無いどころか、先行公開時には地味と思ったWhere Are We Now?もアルバムの中で美しく存在感を放っているんで、なんだか驚いた。アルバムってのはこういうことがある。

 さて、こいつがあまりにも良いため、13年末に出た3枚組ボックスヴァージョンを買おうか迷っているのだけど……?

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