2014年1月10日金曜日

電気グルーヴ / 人間と動物

活動再開後(J-Pop以降)の電気にはどうしても違和感を感じていて、なにかやりたい感じはすごく伝わってくるんだけどどうしてもピントが合っていない感じがしていた。J-Pop、Yellow、20と三作立て続けに、速いペースでリリースされたがどれにも同じような感じを覚えていた。

 20から人間と動物までは、実は「活動休止」を名乗っていた期間と同じくらいの時間が流れている。だが、今回は特に宣言をせずなんとなくリリースしないような状態だったようだ。Upside Downは先行シングルと呼ぶにはかなり離れた時期にリリースされていたし、Shameも少し時期がずれている。小出しのシングルリリースがあったからあまり「休止」感が無かったのかもしれない。

 Upside Downの時はそれほどピンと来なかった記憶がある。また前作までと同じ路線だな、と思っただけだった。Shameも、格好いい曲だけどインストヴァージョンの方がいいな、と感じていた。

 アルバムの「本当の」先行シングルとしてリリースされたのがMissing Beatzだった。この曲を聴いたときの引っ掛かり感は今までの2枚とは明らかに違った。正直、いきなりガツンと来たわけではないけど、地味に耳に、心に染み着いてくる感じ。いいとか悪いとかじゃなくて馴染んでいた。馴染んでいるのにも気づかないくらい自然に馴染んでいた。そして、馴染んだタイミングでアルバムが出た。

 アルバムの印象も同じだ。一瞬にしてガツンとくる感覚はない。だがなんとなく繰り返し聴きたくなるグルーヴとサウンド。じわじわと染み着いてくるのは同じで、気がつくと口ずさんでいる曲が増えていく。Big Shirtsから徐々に。中毒性が高いのはProf. RadioやSlow Motion。今回は卓球の書くメロディが明らかに冴えている。ほとんど歌謡曲に近いレベルのポップで、だけどなんとなくダークなメロディ。ポップとダークが同居するとノスタルジアを刺激する。俺はそういうメロディに弱い。ニューウェーヴっぽいし、ディスコっぽいし、歌謡曲っぽいし、電気グルーヴっぽい。

 Upside DownやShameもミックスを改められ、アルバムに馴染むようになってシングル以上に居心地のいい音になっている(印象としては正直、新曲より弱い)。あと、個人的にはSteppin' Stoneは蛇足。Vitaminの時のN.O.より要らないと思ったな。なんかのシングルのカップリングにすれば良かったのに。因みにこの曲、勿論モンキーズのカヴァーだけど、実際にはは電スチャの機材屋ロックンロールとほぼ同じ曲と言っていい。

 で、今作を聴いてから過去の3枚を聴きなおすと、そりゃあピントがずれた感はあるものの、何がやりたかったのかがかなりはっきり見えてくる。それを踏まえて今回のツアーのライヴDVDを観ると前作までの曲が非常によく馴染んでいて、今の電気がどこを見て進んでいるのか、その一貫性が解ってくるから面白いね。

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